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グッと身近に来る日本史

読書でタイムトラベラー/時空を超えた世界へと旅立つための書評ブログ

日本の経済大国化を予見していたペリー艦隊 『ペリー提督日本遠征記』の世界③

 日米和親条約が調印されると、ペリー艦隊は開港の承認を得た箱館へ向かい、現地の測量と箱館を管理する松前藩側と開港に向けた具体的な交渉を始めています。

 

 

 箱館滞在中のペリー艦隊はと言えば、

 

 士官たちは毎日上陸し、自由に街を歩き、店舗や寺院をしばしば訪ね、妨害されることなく付近の田舎を散策するようになった。(中略)かなり自由に陸上を行き来することで、アメリカ人はまもなく箱館とその住民について相当の知識を得るようになった。

 

 横浜や下田では幕府の監視が厳しく、なかなか街を自由に散策するところまではいかずにもどかしかったようですが、箱館では監視も緩やかでした。

 

 このため、本書(下巻)には箱館の街や当時の人々の暮らしぶりについて、かなり詳しい記述が見られます。

 

 その中に、興味深い記述があるのでご紹介しましょう。「これは箱館の住民に限られたものではなく、日本人一般にあてはまる」と前置きした上で、こう述べています。

 

 実際的および機械的技術において、日本人は非常に器用であることがわかる。道具が粗末で、機械の知識も不完全であることを考えれば、彼らの完璧な手工技術は驚くべきものである。日本の職人の熟達の技は世界のどこの職人にも劣らず、人々の発明能力をもっと自由にのばせば、最も成功している工業国民にもいつまでも後れをとることはないだろう。人々を他国民との交流から孤立させている政府の排外政策が緩和すれば、他の国民の物質的進歩の成果を学ぼうとする好奇心、それを自らの用途に適用する心がまえによって、日本人はまもなく最も恵まれた国々の水準に達するだろう。

 

  米側が日本人の知的好奇心とともに、職人たちの技能を非常に高く評価していたことがわかります。産業革命によってもたらされた最新の機械技術こそ、当時の日本にはなかったものの、基礎的な生産技術とも言える職人の技能の部分、つまり下地は十分にあると認めているのです。

 

 以前、ご紹介した『日本1852 ペリー遠征計画の基礎資料』の中にも、

 

 日本は極東のイギリスになる可能性が高い

 

といった記述も見られます。

 

gootjapan.miyatohru.com

 

 維新後の日本の急成長を、そこだけを切り取って「奇跡」と表現する向きもありますが、私はそうは思いません。日本人のもともとの国民性や江戸時代からのこうした積み重ね(連続性)があってのことで、ペリー艦隊の予見したとおり、むしろ日本の経済大国化は当然の結果だったとみています。 

 

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羽田空港から見た工場地帯。かつてペリー艦隊が予見したとおりに日本は経済大国になった(photo by PAKUTASO)