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グッと身近に来る日本史

読書でタイムトラベラー/時空を超えた世界へと旅立つための書評ブログ

吉田松陰の行動を賞賛していたペリー艦隊 『ペリー提督日本遠征記』の世界④

 職人の技能の高さとともに、ペリー艦隊が日本の経済大国化を予見していたもうひとつの理由に、日本人の国民性とも言える旺盛な知的好奇心がありました。

 

 

 これは本書全般で触れられているのですが、ここではとくに吉田松陰に関する記述を通じて、みていきましょう。

 

 日米和親条約調印直後、ペリー艦隊は開港が承認された下田に向かい、現地調査を行っています。

 

 この時に事件が起こります。吉田松陰による黒船密航未遂事件です。長州藩の吉田松陰と金子重之輔が艦隊に近づき、密航を企てるも、ペリーに拒否され、投獄されたという一件です。

 

 実はこの件に関して、本書はかなり詳しく触れられており、米側の関心が高かったことがわかります。

 

 とくにふたりについては、

 

 彼らは教養のある人物であり、標準中国語を流暢かつ端麗に書き、物腰も丁重で非常に洗練されていた。

 

と高く評価しながらも、

 

 提督は彼らの来艦の目的を知ると、自分としても何人かの日本人をアメリカに連れて行きたいのはやまやまだが、残念ながら二人を迎え入れることはできない、と答えさせた。そして、二人が日本政府から許可を受けるまでは、受け入れを拒絶せざるをえないが、艦隊は下田港にしばらく滞在する予定だがら、許可を求める機会は十分にあるだろうと言って聞かせた。

 

 と当時、ふたりを連れて行けなかった事情をにおわせています。

 

 ペリー自身、今回、かなり強引な交渉をしたということは自覚していたのでしょう。それでこれ以上、幕府を刺激したくないと考えていたことがわかります。

 

  ただ、ふたりのことは気にしていたようで、幕府には今回のことはほんの些細なことなので大げさに考えないで欲しい(罪を軽くして欲しい)旨を伝えています。

 

 希望には応えられなかったものの、本書では若いふたりの勇気ある行動に対して、こう賞賛しています。

 

 この事件は、知識を増すためなら国の厳格な法律を無視することも、死の危険を冒すことも辞さなかった二人の教養ある日本人の激しい知識欲を示すものとして、実に興味深かった。日本人は間違いなく探究心のある国民であり、道徳的、知識能力を広げる機会を歓迎するだろう。(中略)この日本人の性向を見れば、この興味深い国の前途はなんと可能性を秘めていることか、そして付言すれば、なんと有望であることか!